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最終更新日:2019.04.23

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砂防学

砂防学

A5/256ページ/2019年04月05日
ISBN978-4-254-47053-6 C3061
定価4,536円(本体4,200円+税)

丸谷知己 編

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紀伊國屋書店 旭屋倶楽部 東京都書店案内

気候変動により変化する自然災害の傾向や対策,技術,最近の情勢を解説。〔内容〕自然災害と人間社会/砂防学の役割/土砂移動と地表変動(地すべり,火山泥流,雪崩,他)/観測方法と解析方法/土砂災害(地震,台風,他)/砂防技術

編集部から

本書について(「はじめに」より)
 地球上には様々な自然の脅威(Natural Hazard)があるが,これらが自然災害(Natural Disaster)になるかどうかは,人間の生命と財産,インフラや環境,食糧および水資源に及ぼす被害の程度にかかっている。これらの被害を最も直接的にもたらすものが土砂と水である。砂防学ではこの土砂と水の振る舞いについて研究し,砂防事業では,その成果を災害予測や減災対策や災害修復に生かしている。特に,日本のような海に囲まれた狭い国土では,個々の災害に対する対策だけでなく,限られた国土の長期的な管理も必要となり,減災戦略を含めた国土保全が求められる。
 本書は,砂防学への入門書として書かれたものである。初めて「砂防」という専門分野に携わる学生や社会人,または今現在の砂防分野での最新の知識を概観したい方々のために書かれた。第2章以降は,わが国の砂防学研究で最先端を担う研究者が執筆を担当している。全体を通して,なるべく専門用語を使わず平易な言葉で書くことを心掛けているが,どうしても高度な専門用語を使わざるを得ない場合は,用語集で解説するようにしている。また,厳密な区別が必要な専門用語やふだん耳慣れない言葉には原語である外国語を添えてある。
 第1章は,自然の振る舞いと人間社会の在り方により自然災害が発生することを概説する。第2章では,砂防学の実学としての役割を歴史的に概観する。第3章では,砂防の基礎となる日本列島と環太平洋の地盤や気象の概要について述べる。第4章は,砂防学が対象とする地表変動と土砂移動についての各論で,斜面崩壊,地すべり,土石流,火砕流と火山泥流,流木流,土砂流出,大規模崩壊,がけ崩れ,雪崩について解説する。第5章では,これらの現象を野外で観測し,実験室などで解析する方法として,地形解析,水文解析,水理解析,降雨解析,安定解析についてそれぞれ説明する。第6章は,砂防で取り扱う実際の現場を理解するために地震,火山活動,台風,豪雨に分けて,土砂災害との関係を述べる。最後に,現在用いられている砂防技術について,予測,対策,警戒避難,修復の面から解説する。
 砂防にかかわる研究対象や事業は,きわめて広範に及び,近年その技術的進歩も著しい。したがって,本書をもって,執筆者らが砂防学を網羅することは到底できない。読者はこれで砂防学を理解したと思わず,疑問点や興味のある事柄はさらに詳細な文献をあたるなり,現場において自ら確かめることをお勧めする。特に,砂防は実学の最たる分野であり,現場で問題を見つけ,最後は現場に答えを返すことが必要である。本書を読んで疑問に思ったときや,実社会でどのように展開されているか知りたいときは,すべてその答えは現場にあると考えても差し支えない。そして,災害現場はあくまで人間社会へのダメージと被災した人々の悲しみや苦しみに対峙する場となるので,砂防学を学ぶものには人間への深い愛情に裏づけされた研究態度が必要となる。この地球上から災害による苦しみや悲しみを少しでも取り除き,より良い人間社会を創造する志をもつ人々が,本書を入り口として砂防に興味をもっていただけることを希望する。

目次

第1章 自然災害と人間社会 丸谷知己
1.1 砂防学の自然的側面 
1.2 砂防学の社会的側面 
  
第2章 砂防学の役割 丸谷知己
2.1 砂防学の歴史 
2.2 砂防学の目的 
2.3 砂防学の研究対象 
2.4 砂防学の技術的展開 
 
第3章 土砂移動と地表変動 
3.1 日本列島と環太平洋の概要 丸谷知己
3.2 斜面崩壊 平松晋也
3.2.1 斜面崩壊とは─斜面崩壊の分類─ 
3.2.2 土のせん断強度 
3.2.3 崩壊の発生機構 
3.2.4 斜面崩壊と森林 
3.3 地すべり 檜垣大助
3.3.1 地すべりと崩壊─運動特性と発生場 
3.3.2 地すべりの発生原因 
3.3.3 地すべりでできた斜面の把握─地すべり地形の見方 
3.3.4 地すべりブロック区分とは何か? 
3.3.5 地すべり防災対策計画のための調査 
3.4 土石流 小山内信智
3.4.1 土石流の定義と流動特性 
3.4.2 土石流の発生形態 
3.4.3 渓床不安定土砂の侵食による土石流の発生概念 
3.4.4 土石流・流木対策 
3.5 火山泥流と火砕流 山田 孝
3.5.1 火山泥流の発生タイプと規模 
3.5.2 火山泥流の発生・流下・氾濫・堆積実態の事例 
3.5.3 火山泥流の発生・流動メカニズム 
3.5.4 火砕流 
3.5.5 火山泥流を含む土砂移動現象に対する砂防の計画・対策の経緯 
3.6 流木流 石川芳治
3.6.1 流木流と災害 
3.6.2 山地・渓流部における流木の発生形態と発生量 
3.6.3 渓流における流木の移動,停止と谷の出口への流出率 
3.6.4 扇状地における流木の堆積と橋梁の閉塞 
3.7 土砂流出 清水 收
3.7.1 土砂流出とは 
3.7.2 土砂礫の流送形態 
3.7.3 土砂の流送に関する基本的事項 
3.7.4 河床変動 
3.7.5 流域スケールの土砂移動と流域における土砂の問題 
3.8 深層崩壊と天然ダム 桜井 亘
3.8.1 深層崩壊とは 
3.8.2 深層崩壊の特徴 
3.8.3 深層崩壊による災害の事例 
3.8.4 天然ダムで生じる現象 
3.8.5 深層崩壊の対策 
3.8.6 今後取り組むべき技術課題 
3.9 がけ崩れ 土屋 智
3.9.1 がけ崩れ災害の実態 
3.9.2 土砂災害の警戒避難とがけ崩れ防止工 
3.10 雪 崩  寺田秀樹・秋山一弥
3.10.1 雪崩とは 
3.10.2 雪崩による被害の状況 
3.10.3 雪崩の分類  
3.10.4 雪崩の発生 
3.10.5 雪崩の発生しやすい地形・植生条件 
3.10.6 雪崩の運動 
 
第4章 観測方法と解析方法 
4.1 地形解析 笠井美青
4.2 水文解析 小杉賢一朗
4.2.1 斜面における雨水の浸透・流出プロセス 
4.2.2 ハイドログラフと流出解析 
4.2.3 水文観測 
4.2.4 水文モデル 
4.2.5 林地斜面の複雑な水文現象 
4.3 河川水理解析 藤田正治
4.3.1 開水路の定常流 
4.3.2 河床変動解析 
4.4 降雨解析 辻本浩史
4.4.1 砂防における降雨解析の重要性 
4.4.2 雨の観測 
4.4.3 レーダ雨量による解析 
4.4.4 土砂災害と線状降水帯 
4.5 安定解析 笹原克夫
4.5.1 基本的な考え方 
4.5.2 土の内部の応力 
4.5.3 安定解析 
4.5.4 おわりに 
 
第5章 土砂災害 
5.1 地震と土砂災害 執印康裕
5.1.1 地震区分について 
5.1.2 土砂移動現象の発生場について 
5.1.3 地震発生前後の降雨の影響について 
5.1.4 地震と天然ダムについて 
5.1.5 崩壊および崩壊土砂の流動化について 
5.2 火山活動と土砂災害 地頭薗隆
5.2.1 概説 
5.2.2 火山活動に関連した土砂災害の事例 
5.2.3 火山噴火に伴う水文環境変化の評価 
5.2.4 噴火後の土砂災害対策 
5.3 台風と土砂災害 井良沢道也
5.3.1 台風と災害 
5.3.2 誘因別の土砂災害発生件数 
5.3.3 台風によってもたらされる被害 
5.3.4 近年の台風による災害の発生事例 
5.4 豪雨と土砂災害 海堀正博
5.4.1 雨の少ない地域と多い地域の土砂災害の違い 
5.4.2 表層崩壊の多発につながる豪雨 
5.4.3 深層崩壊の発生につながる豪雨 
5.4.4 極端気象の典型としての豪雨
 ─空梅雨傾向と梅雨末期の豪雨による土砂災害─ 
 
第6章 砂防技術 
6.1 予測 小川紀一朗
6.1.1 モニタリング 
6.1.2 シミュレーション 
6.1.3 ハザードゾーニング 
6.2 ハード対策 香月 智
6.2.1 ハード対策の目的 
6.2.2 ハード対策の分類 
6.2.3 各種構造物の役割区分と呼称「土木学会(2013)」 
6.2.4 不透過型砂防堰堤の性能 
6.2.5 透過型砂防堰堤の性能 
6.2.6 砂防堰堤の安定性照査 
6.2.7 期待性能の多様化と性能設計 
6.3 警戒避難 國友 優
6.3.1 警戒避難の防災上の位置付け 
6.3.2 警戒避難体制の整備のために必要な技術 
6.4 被災と修復 久保田哲也
6.4.1 崩壊地の修復 
6.4.2 砂防堰堤など砂防施設の被災と修復 
6.4.3 工事用道路被害と修復 

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