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最終更新日:2017.03.29

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シリーズ: 言語表現とコミュニケーション 1

語はなぜ多義になるのか ―コンテキストの作用を考える―

語はなぜ多義になるのか

A5/200ページ/2017年03月20日
ISBN978-4-254-51621-0 C3380
定価3,456円(本体3,200円+税)

中野弘三 編

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紀伊國屋書店 旭屋倶楽部 東京都書店案内

語用論の中心課題である,言語表現とコミュニケーションの場の解明,特に意味伝達のプロセスを解明するシリーズ。第1巻では,意味理論,語用論理論をもとに語の多義性を分析し,歴史的意味変化や,借用の過程で生じる意味変化を扱う。

編集部から

シリーズ 言語表現とコミュニケーション・全3巻
1.語はなぜ多義になるのか
  ―コンテキストの作用を考える−
  中野弘三 編
2.対話表現はなぜ必要なのか
  ─最新の理論で考える─
  東森 勲 編
3.発話の解釈はなぜ多様なのか
  ─コミュニケーション能力の働きを考える−
  中島信夫 編

○弊社関連本のご紹介
 中野弘三先生は,『意味論』(朝倉日英対照言語学シリーズ6)の編者です。
 東森勲先生は,『語用論』(朝倉日英対照言語学シリーズ7)の著者です。
 中島信夫先生は,『語用論』(朝倉日英対照言語学シリーズ7)の編者です。
それぞれ、合わせてよろしくお願いいたします!


◎刊行のことば
 言語の研究は,語用論の研究が盛んになるに伴い,言語構造から言語使用へとその対象を広げつつある。言語使用を研究の対象とする語用論の中心課題は,言語表現とコミュニケーションの場(コンテキスト)の関係の解明であり,特に,コミュニケーションの場で言語表現の意味がどのように伝達されるか(あるいは,理解されるか),という意味伝達(理解)のプロセスの解明である。
言語表現の意味をコミュニケーションの場との関係から考察することの重要性の一つは,コミュニケーションの場では言語表現の本来の意味(文字通りの意味)が変化する,すなわち,意味の拡大,縮小,比喩的拡張などが生じることである。このことは歴史的観点から見ても重要で,言語表現である(単)語の多義性も,ある期間コミュニケーションの場で用いられているうちに生じた変化の累積と見なすことができる。
コミュニケーションの場での言語表現の意味を考察する重要性のもう一つは,コミュニケーションの場では言語表現は文字通りの意味だけでなく,「言外の意味」を伝えることである。そして「言外の意味」をくみ取る仕組みを解明することが語用論の重要な研究目標になっている。言外の意味をくみ取る仕組みの中心は「推論」(inference)で,これは「心の理論」(theory of mind)と呼ばれる人間の心の働きの一部と見なされる。推論に関しては,言語コミュニケーションにおいて働く推論は「関連性」(relevance)の原理に従って機能する,という説を主張する関連性理論(Relevance Theory)が現在大きな注目を集めている。
さらに,今日の言語研究で「言語表現とコンテキストの関係」が重要なテーマと考えられる最大の理由は,コミュニケーションが成功するためには,言語表現がコミュニケーションの場に応じて適切に選択/解釈されることが必要不可欠だからである。なお,この「コミュニケーションの場に適した言語表現の選択/解釈を行う」人間の能力を(応用)言語学では「語用論的能力」(pragmatic competence)ないしは「コミュニケーション能力」(communicative competence)と呼ぶ。上で述べた,コミュニケーションの場での言語表現の意味の(比喩的)拡張/縮小解釈や推論による言外の意味のくみ取りは,この語用論的(コミュニケーション)能力の働きと考えることができる。

以上に述べた「言語表現とコンテキストの関係」の重要性を考慮して,本シリーズは,コミュニケーションの場で用いられた言語表現の意味の問題を様々な角度から検討しようと構想されたものである。本シリーズを特徴付けるキーワードは,「言語表現」,「コンテキスト(コミュニケーションの場)」,言語表現とコンテキストを結びつける「語用論的能力」の三つであり,本シリーズではこれらのキーワードに関わる問題を三つの巻に分けて扱う。言語表現を発話レベルと語(句)レベルに分けて,語(句)とコンテキストの関係を第1巻と第2巻で,発話とコンテキストの関係を第3巻で扱う。具体的には,第1巻では語の多義性とコンテキストの分析を中心に語の意味とコンテキストの関係を,第2巻では対話表現(法表現,談話標識,配慮表現など話し手の心的態度を表す表現)の意味機能を,第3巻ではコンテキストに応じた発話の解釈と発話行為の選択の問題を,それぞれ扱う。なお,「語用論的能力」は第3巻で一番詳しく扱うが,ほかの2巻の内容にもさまざまな形で関係する。


目次

〈第I部 基礎編:多義性の基本的問題〉
第1章 語の多義性 [中野弘三]
 語の意味の曖昧性―多義性,同音意義性,不明確性/多義語と同音意義語・不明確語との相違/多義語の語義の特徴/多義語の語義間の関連性
第2章 多義性とコンテキスト [中野弘三]
 語の意味とコンテキスト/多義性と比喩的意味

〈第II部 実践編:多義語分析の実践〉
第3章 多義語の分析―語彙意味論的アプローチ [大室剛志]
 語の多義性と生成語彙論/語の多義性と概念意味論
第4章 多義語の分析II―認知意味論的アプローチ [早瀬尚子]
 意味拡張のメカニズム/認知言語学での多義 (1)/認知言語学での多義 (2):スキーマとネットワークモデル/多義の発生と使用文脈:言語変化の観点から
第5章 多義語の分析と語用論 [井門 亮]
 語彙語用論とは/関連性と発話解釈/アドホック概念構築/語彙語用論の可能性

 〈第III部 応用編:意味変化の要因を探る〉
第6章 語義の歴史的変化とその事例 [石崎保明]
 畢竟,語は多義になる/語義の歴史的変化を調べるには/理論的枠組み/事例分析
第7章 借入語にみる意味変化 [前田 満]
 借入とその動機/借入と意味変化/借入の動機と意味変化

  関連本

意味論

語用論

対話表現はなぜ必要なのか

発話の解釈はなぜ多様なのか