ⓔコラム12-1-12 外科的治療

 直達手術,Hassab手術

 食道胃静脈瘤へ門脈血を流入させないように血流遮断を行う手術を直達手術といい,胃上部および食道下部の血行遮断と消化管の離断または切除を行う食道離断術,胃上部切除術,Hassab手術などがある.Hassab手術は,胃上部および食道下部血行遮断と脾摘術を行うもので,Hassab手術およびHassab手術の手技に含まれる脾摘術が現在の門脈圧亢進症の手術術式の主流である1)

 シャント手術

 門脈下大静脈吻合術や選択的シャント手術がある.選択的シャント手術は,門脈圧を低下させることなく,食道胃静脈瘤に関与する静脈のみを選択的にドレナージして減圧させることを目的とした手技である.遠位脾腎静脈シャント術 (DSRS),左胃静脈下大静脈吻合術などがある.

 脾臓摘出術

 脾臓摘出術は,脾機能亢進症に伴う血小板減少が著しい症例や内視鏡治療を繰り返しても再発を繰り返す難治性の食道胃静脈瘤などに対し,脾機能亢進症の改善と門脈圧低下を目的に行われる.有効性はきわめて高いが,脾臓の網内系機能,抗体産生能が失われる問題がある.

 肝移植術

 肝機能が著しく不良で肝不全へ移行する危険性が高いと判断される場合,あるいは,肝癌を合併し肝移植以外に有効な治療法がないと判断される場合に行われる.

〔坂井田 功〕

■文献

  1. 野浪敏明,有田 卓:直達手術,Hassab手術.門脈圧亢進症診療マニュアル (日本門脈圧亢進症学会編),南江堂,2015; 115–119.