ⓔコラム13-32-1 刺激物質誘発職業性喘息 (irritant induced asthma: IIA) の最近の動向
European Academy of Allergy and Clinical Immunology (EAACI) から,刺激物質誘発職業性喘息を3分類することが提唱されている1).
ⅰ) 急性発症刺激物質誘発職業性喘息 (acute–onset IIA): 高レベルの曝露から数時間で引き起こされる急性発症型であり,従来の刺激物質誘発職業性喘息に合致する.
ⅱ) ほぼ確実な刺激物質誘発職業性喘息 (probable IIA): 高濃度の刺激物質を繰り返し吸入し,曝露と症状発症や重症化との間に期間的にずれがあるもの.
ⅲ) 可能性のある刺激物質誘発職業性喘息 (possible IIA): 慢性的な繰り返す中等度の刺激物質への曝露により期間をおいて発症する.作業増悪性喘息と症状や検査所見において区別しづらいので,両者を明確に鑑別することは難しい.職場で喘息症状が悪化してきていることや職場での慢性的な刺激物質への曝露があることや職場に感作性物質が欠如することなどから診断する1,2).
〔土橋邦生〕
■文献
Vandenplas O, Wiszniewska M, et al: EAACI position paper: irritant–induced asthma. Allergy, 2014; 69: 1141–1153.
日本職業・環境アレルギー学会ガイドライン専門部会編:職業性アレルギー疾患診療ガイドライン2016,協和企画,2016.