ⓔコラム14-14-1 ADPKDの腎予後予測

 ADPKDの自然経過は個人差が大きい.一般的にPKD1変異例はPKD2変異例より進行が速く,より若年で末期腎不全に至るが,同一家系内でも異なる経過を示すことも多い.高血圧などの合併症の有無や治療状況,飲水の程度,肥満の有無など後天的な環境・生物学的因子の影響を受けている可能性がある.遺伝子変異の種類以外にも性別 (男性の方が進行が速い),早期 (<35歳) からの高血圧・囊胞感染・肉眼的血尿の発症,などがADPKDの腎予後に影響するとされており,これらの情報を用いてスコアリングを行いADPKDの予後予測を行う試みがある (PROPKD score)1).また,年齢とその時点の画像検査で得られた腎容積より,その後の病勢進行を予測するADPKDの画像分類がMayo Clinicより報告された2).この分類はわが国のADPKD診療でもすでに広く用いられている (図1図2).ADPKDの腎予後予測を行うことは患者への病状説明に有用であるだけでなく,トルバプタンおよび今後登場するであろうADPKDの新薬の治療が望ましい進行性を示すADPKD患者の特定が可能になると思われる.

図1 Mayo分類.
図2 クラス別腎機能低下予測.

〔山本準也・西尾妙織〕

■文献

  1. Cornec–Le Gall E, Audrézet MP, et al: The PROPKD Score: a algorithm to predict renal survival in autosomal dominant polycystic kidney disease. J Am Soc Nephrol, 2016; 27: 942–951.

  2. Irazabal MV, Rangel LJ, et al: Imaging classification of autosomal dominant polycystic kidney disease: a simple model for selecting patients for clinical trials. J Am Soc Nephrol, 2015; 26: 160–172.