ⓔコラム7-10-5 イヌのワクチン接種
日本国内では1956年を最後にイヌの狂犬病は認められておらず,国内生育の犬・動物咬傷では狂犬病は考慮する必要はなく,そのため臨床現場での犬・動物咬傷は簡便化が可能である.なお日本では抗狂犬病グロブリンが認可されていない.海外生活で犬・動物咬傷の可能性のある場合には,曝露前ワクチン接種が推奨される.また米国ではアライグマ,スカンク,リスなどが原因動物であり注意が必要である.
イヌでの狂犬病の流行を阻止するには70%以上のイヌにワクチンを接種することが推奨されている.しかし厚生労働省による調査では2018年の接種率は71.4%であり1),未登録犬を考慮すると40%前後になる可能性もある.ヒトのみではなくイヌのワクチン接種率にも注意が必要である.
〔立川夏夫〕
■文献