ⓔコラム9-1-3 COSAC研究

 SPRINT研究1)の結果,AOBP 120 mmHg未満を降圧目標とした治療がイベント発生の低下に効果的であることが確認された.これを受け,日本高血圧学会は日本版SPRINT研究ワーキンググループを組織し,わが国の外来診療におけるAOBPの意義を検討した (COmparison of Self–measured home, Automated unattended office and Conventional attended office blood pressure (COSAC) study)2).その結果,AOBPは通常診察室血圧に比べ収縮期血圧で10 mmHg程度低値ではあるものの,相関は強く,2つは近い指標であると考えられた.一方,AOBPと家庭血圧は平均値としては類似しているものの,相関はきわめて弱かった.このことから,日本高血圧学会は「AOBPを家庭血圧の代替指標として使用することを推奨しない」との声明を出した3).欧州でも有用性は不明確とされている.AOBPは臨床現場における時間や場所の確保や患者指導の必要性があることから,実現には困難が予想される.基準値や血圧分類も定義されておらず,わが国でAOBPが普及する可能性は低いと思われる.

〔大久保孝義〕

■文献

  1. SPRINT Research Group: A randomized trial of intensive versus standard blood–pressure control. N Engl J Med, 2015; 373: 2103–2116.

  2. Asayama K, Ohkubo T, et al: Japanese Society of Hypertension Working Group on the COmparison of Self–measured home, Automated unattended office and Conventional attended office blood pressure (COSAC) study. Comparison of blood pressure values–self–measured at home, measured at an unattended office, and measured at a conventional attended office. Hypertens Res, 2019; 42: 1726–1737.

  3. 日本高血圧学会日本版 SPRINT 検討研究ワーキンググループ: 自動診察室血圧automated office blood pressure (AOBP) について. http://www.jpnsh.jp/topics/637.html