ⓔノート17-10-16 HLH–94とHLH–2004の違い

 HLH–94とHLH–2004の違いはシクロスポリンを治療開始時から加えるか (HLH–2004) 否か (HLH–94),であるが両者の5年生存率には有意差はなかった1)

 HLHの30~73%には何らかの中枢神経病変がみられる.MRIや,可能であれば脳脊髄液検査を行い,炎症所見を認めた場合はプレドニゾロン,メトトレキサートの髄腔内投与が推奨されている2)

 治療抵抗性のHLHに対しては,ウサギ抗胸腺細胞グロブリン,JAK1/2阻害薬ルキソリチニブ,抗CD52抗体であるアレムツヅマブ (いずれも保険適用外),インターロイキン1受容体アンタゴニストであるanakinra (国内未承認) の有効性が報告されている.播種性血管内凝固症候群 (disseminated intravascular coagulation: DIC) や臓器障害を合併した重症例には血漿交換療法が行われることがあるが,その効果は一時的である.米国では2018年に原発性HLHに対し抗インターフェロンγ抗体であるemapalumabが承認されている.

〔新井文子〕

■文献

  1. Bergsten E, Horne A, et al: Confirmed efficacy of etoposide and dexamethasone in HLH treatment: long–term results of the cooperative HLH-2004 study. Blood, 2017; 130: 2728–2738.

  2. Marsh RA, Haddad E: How I treat primary haemophagocytic lymphohistiocytosis. Br J Haematol, 2018.