ⓔコラム10-7-4 右肺の2つの肺葉の無気肺の画像所見
右肺の2つの肺葉が同時に無気肺に陥る場合がある.発現頻度としては,中下葉の無気肺,上中葉の無気肺,上下葉の無気肺の順に高い.右肺中下葉無気肺は中間気管支幹の閉塞によって起こることが多い.胸部単純X線正面像では上中葉間裂が下方に偏位し,過膨脹した右肺上葉と虚脱した中葉の間に真っすぐな境界面を形成し,右横隔膜挙上や胸水との鑑別が難しくなる.右肺門陰影の下方への偏位と不鮮明化,右心第2弓の不鮮明化もみられる.右肺上中葉無気肺が起きるためには,それぞれの肺葉を閉塞する2つの病変が存在するか,あるいは中間気管支幹を閉塞しないで上下葉を同時に閉塞する巨大な病変がなければならない.右肺上中葉無気肺では胸部単純X線正面像では右葉上中葉は前方,内側に偏位し,上行大動脈,右心第2弓が不鮮明になる.右肺門は上方へ,縦隔は右側へ偏位する.側面像では虚脱した肺が前縦隔腫瘤様に見える.右肺上下葉無気肺は2個の病変が別々に上葉,下葉気管支を閉塞するか,大量の胸水が両葉を受動的無気肺に陥らせる場合に起こりうる.胸部単純X線像では上記,右上葉無気肺と右下葉無気肺をあわせた所見に中葉の過膨脹がみられる.
〔石塚 全〕