ⓔコラム11-1-10 ルゴールによる色素内視鏡で発見した食道表在癌

【症例】70歳代,男性

主訴:なし

既往歴など:Helicobacter pylori除菌成功.現在喫煙 (20本/日),習慣飲酒.

悪性腫瘍の家族歴:母,大腸癌.

内服歴:ベザフィブラート,カンデサルタン・アムロジピン.

内視鏡検査法:鎮痙剤・鎮静剤なし,炭酸ガス送気使用,経口挿入.IEE (NBI,色素内視鏡染色法) 併用.

使用機種:GIF–P260 (オリンパス,キセノン光源,面順次方式,2021年撮影)

検査場所:増山胃腸科クリニック (大田原市,増山仁徳院長)

内視鏡画像:図1

生検結果:Group 2 atypical epithelium

検査後の経過:獨協医科大学病院消化器内科にてESD施行.

病理診断結果:Early cancer of the esophagus, ESD

Squamous cell carcinoma, locus Mt, Type 0–IIb, 36×21mm, pT1a–LPM, ly (-), v (-), pHM0, pVM0

図1 ルゴールによる色素内視鏡画像. A:食道中部の通常観察.後壁中心に不整な発赤帯を認める. B:NBI (narrow band imaging) 併用観察.通常観察における発赤帯がbrownish areaとして認識できる. C:ルゴール散布による色素内視鏡 (染色法) 観察 (chromoendoscopy, staining method) NBIでbrownish areaとして観察された部分に一致して不染帯を認める. D:不染帯の近接観察.不染帯の一部にpink color sign (不染帯の口側) が認められ,内視鏡的に食道表在癌 (0–Ⅱc型) と診断した.

〔中村哲也〕