ⓔコラム11-1-12 pHセンサー

 pHセンサーを1個しか使用しないと,酸性の飲食物を摂取した場合と胃食道逆流を区別することができない.食道内に2個センサーを留置すると,酸性の飲食物を摂取した場合には,口側のpHセンサーがはじめに変化し,肛門側のセンサーは遅れて変化する.一方,胃食道逆流イベントの場合には,肛門側のセンサーが先に変化し,口側のセンサーが遅れて変化するため,両者を区別することができる.

 なお,胃食道逆流の回数や異常酸逆流の有無だけではなく,検査中の症状を記載しておき,胃食道逆流イベントとの関連性を評価することで,より正確な病態評価が可能である.

 pHセンサーは有線式のものと無線式のものがある.有線式ではカテーテルにpHセンサーがあり,カテーテルを鼻から食道内に挿入してpHセンサーを留置する必要がある.簡便であるが,カテーテルが挿入されているため,のどの違和感が問題となるケースも少なくない.無線式のものはpHセンサーを直接食道壁に縫いつけて,食道内のpHを測定する検査である.カテーテルがないため,喉の違和感はなく,pHセンサーが落ちてしまったり,バッテリーがなくならないかぎり,2~3日間のモニタリングが可能である.しかし,無線式のpHセンサーはわが国では薬事承認されておらず,コストも高いことから,わが国では行われていない.

〔栗林志行〕