ⓔコラム11-1-1 主要徴候の解説

 Murphy徴候:急性胆囊炎の診断方法の一つで,右季肋部を押さえながら深呼吸させると,痛みのために呼気が止まる徴候.炎症を起こした胆囊が呼気によって下降し,診察医の手に触れるため疼痛を感じる.

 Courvoisier徴候:総胆管の閉塞により胆囊内に胆汁が充満し,腫大した胆囊を触知するが,痛みを伴わない.

 Mcburney点:右上前腸骨棘と臍を結ぶ線の外側1/3の点.虫垂の付着部とされる

 Lanz点:左右の上前腸骨棘を結ぶ線の右外側1/3の点.虫垂の先端の位置とされる

 Psoas徴候 (腸腰筋徴候):患者を左側臥位にして右大腿を過伸展させて腸腰筋の硬直を判定する (図1).炎症を起こした虫垂が右腸腰筋に接している場合に有効であり,特異度79~97%と高いが,感度は低い (3~42%).

図1 腸腰筋徴候 (急性腹症診療ガイドライン2015より作成).

 閉鎖筋テスト:患者の右股関節と膝関節を屈曲させてから右股関節を内側に回旋させることで閉鎖筋を伸展させ,疼痛を誘発する方法 (図2).感度8%,特異度94%.

図2 閉鎖筋テスト (急性腹症診療ガイドライン2015より作成).

〔岸川暢介〕