ⓔコラム11-1-9 インジゴカルミンによる色素内視鏡で発見した早期胃癌

【症例】80歳代,男性

主訴:食道つかえ感,食後の胃もたれ,胸やけ,腹部膨満,食事の途中で満腹になる (Fスケール9点)

既往歴など:31年前大腸癌のためS状結腸切除術.13年前Helicobacter pylori除菌成功.10年前狭心症.非喫煙,現在禁酒.

悪性腫瘍の家族歴:なし

内服歴:バイアスピリン100 mg,ランソプラゾール15 mg/日

内視鏡検査法:鎮痙剤・鎮静剤なし,経口挿入.IEE (BLI,LCI,色素内視鏡コントラスト法) 併用.

使用機種:EG–L580NW (富士フイルム,レーザー光源,同時方式,原色カラーフィルター,CCD,2021年撮影)

検査場所:野里門クリニック (姫路市,石井洋治院長)

内視鏡画像:図1

生検結果:Group 5 well differentiated tubular adenocarcinoma (tub1)

検査後の経過:他院にてESD (endoscopic submucosal resection) 施行.

病理診断結果:Early cancer of the stomach, ESD

Tubular adenocarcinoma, well differentiated type (tub1>tub2), locus Less–Ant, Type 0–IIc, 13×9mm, pT1a (M), ly (-), v (-), pHM0, pVM0

 LCIとは富士フイルム社が開発したレーザー光源の電子内視鏡で使用できる光デジタル法の一種で,白色光画像と狭帯域画像の両方が含まれているため食道胃接合部 (バレット上皮) から胃の観察に優れている.スクリーニング検査でもLCIを併用することにより早期胃癌が発見しやすくなり,大きな注目を集めている.興味のある読者は,成書を参照していただきたい.

図1 インジゴカルミンによる色素内視鏡画像. A:幽門前庭部前壁の通常観察, B:BLI (blue laser imaging) 併用観察, C:LCI (linked color imaging) 併用観察, D:インジゴカルミン散布による色素内視鏡 (コントラスト法) 観察 (chromoendoscopy, contrast method).長径12 mmの早期胃癌 (0–Ⅱa+Ⅱc型) と診断した.

〔中村哲也〕

■文献

大澤博之:見逃さない! LCI内視鏡診断アトラス もう迷わない・見える・わかる・使えるスクリーニングの極意.診断と治療社,2020.