ⓔコラム11-3-13 肝癌合併胃静脈瘤の治療指針

 出血例

 出血例は高度肝障害やVp因子に関係なく,すべてCA法で止血をはかる.CAはヨード化ケシ油脂肪酸エチルエステル (リピオドール) と混合し75%CAとしてGV胃静脈瘤内に注入する.CAは肝機能に悪影響を及ぼさないので,CA法単独で胃静脈瘤およびその供血路を十分に閉塞し完全治療を目指す.

 待期・予防例

 高度肝障害がなくVp 0~2の場合はCA・EO併用法を選択し,胃静脈瘤とその供血路を閉塞させる.高度肝障害がなくVp 3,4の場合は静脈瘤血流量が著増しているのでCA法単独で胃静脈瘤とその供血路を完全に閉塞することが出血再発を防止するうえで重要である.一方,高度肝障害があればEOは使用できないのでCA法単独で治療する.同様に胃静脈瘤とその供血路を完全に閉塞することが重要である.

〔小原勝敏〕