ⓔコラム11-3-5 脂肪腫
疫学
脂肪腫は,食道ではまれで,大腸で最も多く,十二指腸・小腸,胃の順で食道発生は約1%である.
原因
脂肪腫は,粘膜下の脂肪組織より発生する腫瘍である.
病理
脂肪腫は,表面は正常扁平上皮に覆われており,上皮下に皮下脂肪と鑑別困難な腫瘍細胞の増生を認める.血管増生や線維性結合組織の増生を伴う場合もある.
診断
脂肪腫は,頸部食道に好発し,多くは有茎性で表面平滑な黄白色調のやわらかい隆起性病変である.鉗子で圧迫すると表面が容易につぶれ,圧迫を解除すると速やかに元に戻る (cushion sign 陽性).
経過・治療
脂肪腫の悪性化はまれであるが,嚥下困難などの症状がある場合は内視鏡切除の適応となる.
〔後藤田卓志〕