ⓔコラム11-4-22 残胃の癌

概念

 残胃新生癌,残胃遺残癌,残胃再発癌に分類される1).狭義には残胃新生癌を意味するが,発生要因からの分類は困難で,臨床的には残胃の癌として同一に扱うことが多い.

症状

 特有の症状はなく,進行癌ではつかえ感,胸やけ,心窩部痛,嘔吐,吐血などをきたす.

原因・病態

 十二指腸液の胃内逆流が発癌に促進的に作用するとの報告がある.

術式との関連

 残胃への十二指腸液逆流が多い術式 (Billroth–Ⅱ法,Billroth–Ⅰ法の順) に多くRoux–en–Y法では少ない.

診断

 通常の胃癌と同様,内視鏡下生検で組織学的に診断される.

治療

 通常は残胃全摘術が行われるが,噴門を温存する残胃亜全摘術も行われている2)

〔中田浩二〕

■文献

  1. 城所 仂:残胃の癌切除例の遠隔成績―胃癌研究会98施設613例の検討.日本癌治療学会誌,1982; 7: 2029–2034.

  2. 日本胃癌学会:手術の種類と定義.胃癌治療ガイドライン 第5版,金原出版,2018; 10.