ⓔコラム11-5-2 腸結核の鑑別診断
Crohn病
好発病変部が回盲部であること,共に若年に多いことなど共通性が多く,しばしば鑑別で問題になる.結核菌が証明されれば腸結核と確定診断され,IGRA陽性であればきわめて腸結核が疑わしいが,これらが陰性で腸結核の場合も少なくなく,鑑別が困難となる.このうち瘻 (ろう) 孔の存在は感度は弱いがCrohn病に特異度が高い.敷石状変化はCrohn病に特異度が高い.潰瘍の形態 (縦走vs 輪状) は特異度がやや劣る.これらを組み合わせて,それでも尚鑑別困難な場合は,治療法がまったく異なるので抗結核療法の診断的加療を実施することもある.
CEAS (chronic enteropathy associated with SLCO2A1)
遺伝性疾患である.慢性の鉄欠乏性貧血と低蛋白血症を認め,炎症所見はないか,あっても軽度である.
NSAIDs (non–steroidal anti–inflammatory drugs,非ステロイド性抗炎症薬) 起因性腸炎
NSAIDs使用歴があり,中止後に改善する.
腸管Behçet病
Behçet病の診断基準を満たし,深ぼれ潰瘍が認められる.
〔穗苅量太〕