ⓔコラム12-1-1 ICG試験
色素の肝細胞による処理機能の検査は肝機能検査として広く利用されており,ICG試験はその代表である.ICGは暗緑色の色素で,静注するとアルブミンと結合する.90%以上が肝細胞に摂取され,抱合を受けずに胆汁中に排泄される.ICG試験は肝血流量と肝細胞の色素処理機能を反映し,肝硬変の診断や肝予備能の評価に使用される.特に肝切除の術前検査では不可欠である.ICG試験の指標としては,15分血中停滞率,血中消失率,最大除去率が用いられる.15分血中停滞率は10%以下が正常で,30%をこえると肝硬変の可能性が高い.これが70%以上と,極端に高い値を示す場合はRotor症候群 (体質性黄疸) と体質性ICG排泄異常症を考慮する.肝疾患以外では,心不全などで肝血流量が低下する場合に高値を示す.
〔田中榮司〕