ⓔコラム12-1-7 Crigler–Najjar症候群I型
肝組織像は正常であるが,高度の非抱合型ビリルビン血症を呈し核黄疽の危険が高い1).常染色体潜性 (劣性) 遺伝の形式をとり頻度は低い.この患者の大多数はビリルビン以外にも薬物などの基質 (生化学) をグルクロン酸抱合することができないが,その遺伝子異常はUGT1遺伝子の共通エクソン (2~5) の変異であると考えられている2,3).一方一部の患者ではビリルビン以外の基質の抱合は保たれており,その異常はビリルビン特異的なエクソンA1の異常に起因すると考えられている.治療としては光線療法が行われるが,これはビリルビンを水溶性の光異性体に変換することにより胆汁中への排泄を増やす機序による.これにより核黄疽による死亡を防ぐことができるが,遅発性のビリルビン脳症により予後が不良となる例もあり,根本的には肝臓移植が唯一の治療法である.
〔上野義之〕
■文献
Watchko JF, Tiribelli C: Bilirubin–induced neurologic damage: mechanisms and management approaches. N Engl J Med. 2013; 369: 2021–2030.
Kadakol A, Ghosh SS, et al: Genetic lesions of bilirubin uridine–diphosphoglucuronate glucuronosyltransferase (UGT1A1) causing Crigler–Najjar and Gilbert syndromes: correlation of genotype to phenotype. Hum Mutat, 2000; 16: 297–306.
Wolkoff AW: Hepatocellular sinusoidal membrane organic anion transport and transporters. Semin Liver Dis, 1996; 16: 121–127.