ⓔコラム12-6-7 アルコール性肝硬変の治療
肝硬変が進展すると,残存肝細胞の減少に伴うグリコーゲンの枯渇や,末梢組織のインスリン感受性低下 (インスリン抵抗性) により夜間・早朝空腹時の脂質燃焼比率は増加し,健常人が長時間絶食した飢餓状態に相当する.1日の総カロリーのうち200 kcal程度を就寝前夜食 (late evening snack: LES) として摂取することで,就眠時の飢餓状態が改善する.Swartらの検討によると,同カロリー,蛋白量の食事を1日4回もしくは6回 (1回はLESとして) に分割して肝硬変患者 (Child Pugh B) に与えると窒素バランスはLES群で有意に改善した1).脳症を伴う場合は経腸栄養剤によるLESが有用である.
〔竹井謙之〕
■文献