ⓔコラム13-35-7 アトピー性皮膚炎の年齢層,重症度,薬物治療の変化
アトピー性皮膚炎患者は,かつて小児に固有の疾患と考えられていたが,1980年頃より徐々に年齢層が上昇し,2020年時点では多くの成人患者が存在する疾患である.重症度では学童期より重症例の割合が増加し,成人では40歳代以上でやや少ない1).2018年以降,ステロイドやカルシニューリン阻害外用薬を用いても制御できない中等症~重症のアトピー性皮膚炎に対してIL–4/IL–13の共通受容体サブユニットに対する抗体医薬 (デュピルマブ) が使用されるようになった.今後,2型炎症反応を標的とする抗体医薬やヤヌスキナーゼ (Janus kinase: JAK) などの細胞内情報伝達物質阻害薬などが登場し,アトピー性皮膚炎の薬物治療は大きく変貌する可能性がある2).
〔秀 道広〕
■文献
佐伯秀久,大矢幸弘,他:アトピー性皮膚炎診療ガイドライン2021.日本皮膚科学会雑誌,2022; 132: 印刷中.アレルギー,2021; 70: 1257–1342.
Langan SM, Irvine AD, et al: Atopic dermatitis. Lancet, 2020; 396: 345–360.