ⓔコラム14-1-4 実際の血液透析療法

 一般的な透析装置について示す (図1).透析用コンソールに透析回路,ダイアライザー,抗凝固薬,生理食塩液などが組み込まれる (図2).血流量,静脈圧などが表示され,自動血圧計が常備されている.透析中の脱血不良例ではピローの膨らみがみられない (図3).回路の動静脈側にチャンバーを設けることで空気の混入を防ぐ (図4).さらにコンソールに気泡を感知するセンサーも備わっている (図5).透析中の血流量をコントロールする (図6).血流量により透析効率は異なってくる.透析回路内の血液凝固を防ぐため,抗凝固薬を回路内から注入する (図7).

図1 透析装置.
図2 透析回路.
図3 透析回路 (ピロー).
図4 透析回路 (チャンバー).
図5 気泡センサー.
図6 血流量.
図7 抗凝固薬.

 バスキュラーアクセスに穿刺を行う際には,一般的に留置針が使用されることが多い (図8).血流量により留置針のサイズは異なる.

 バスキュラーアクセスからの脱血スピードは,わが国においては150~300 mL/分である.欧米では300~500 mL/分程度のことが多い.バスキュラーアクセス内の血流はおよそ700 mL/分程度といわれている.

図8 穿刺針 (バスキュラーアクセス穿刺針).

 バスキュラーアクセスのない場合には,ブラッドアクセスカテーテルが用いられる (ⓔ図14-1-8).脱血側と返血側を逆につなぐと,再循環を起こし透析効率が低下してしまうケースがある (図9).また,ブラッドアクセスカテーテルを鎖骨下静脈に挿入してしまった場合,バスキュラーアクセス作製後に鎖骨下静脈の狭窄をきたすことがあるため (図10),内頸静脈からのアプローチが第一選択となる.

図9 ブラッドアクセスカテーテル再循環.
図10 鎖骨下静脈狭窄.

 バスキュラーアクセスに狭窄をきたす場合には,脱血不良や静脈圧上昇などがみられ,最終的にバスキュラーアクセスを使用することができなくなる.このため,外科的治療以外に,冠動脈と同様にバルーンで拡張する治療 (percutaneous transluminal angioplasty: PTA) が行われている (図11).

図11 VAIVT (vascular access interventional therapy).

 実際の透析を行うにあたっては,透析時間,血流量などで透析効率を確保し,中分子を除去したい場合には濾過を加えHDFを行う.さらにドライウェイトといわれる標準体重を設定し除水を行う.

〔正木崇生〕