ⓔコラム14-3-7 ChurgとEhrenreichによるステージ分類

 電子顕微鏡所見では,ChurgとEhrenreichによるステージ分類 (Ⅰ期~Ⅳ期) が用いられる.初期には,上皮下に沈着物を認めるが,病期が進むにつれて基底膜内に取り込まれ,最終的には吸収され透亮像として観察される.

 I期は,上皮下に高電子密度沈着物が存在する時期で,基底膜の反応性肥厚は乏しく,光学顕微鏡での診断は難しい.Ⅱ期は,基底膜緻密層から伸びた突起が高電子密度沈着物の両脇に認められるようになる.光学顕微鏡ではPAM染色でスパイクあるいは点状の欠損像 (点刻像) として観察される.Ⅲ期は高電子密度沈着が新生基底膜で包み込まれ,膜内に存在するようになる時期である.光学顕微鏡では,PAS染色で基底膜の肥厚,PAM染色で鎖状の変化や二重像を認めるようになる.Ⅳ期は高電子密度沈着物が吸収され,透亮像として観察される.こうしたステージは混在して観察されることが多い.

 この分類は,患者の病歴を推測するのに有用である.Ⅰ期であれば発症まもないこと,Ⅳ期であれば発症後数年以上が経過していることを示唆する.Ⅰ期からⅣ期が混在している場合は,膜性腎症が軽快増悪を繰り返していることが推測される.しかし,ステージ分類と治療反応性や腎予後との関連は明確ではない.

〔丸山彰一〕