ⓔコラム14-6-2 寛解基準

 ループス腎炎の寛解基準は統一されてはおらず,臨床試験ごとに設定されている.例えばミコフェノール酸モフェチルとIVCYの治療効果を比較した代表的な臨床試験であるALMS試験では,完全寛解 (完全奏効) 基準について,①尿蛋白≦0.5 g/日,②非活動性尿沈渣 (白血球≦5個/強視野かつ赤血球≦5個/強視野),③血清Cr基準値内のすべてを満たす場合と定義している1).寛解基準の設定の仕方により,同じ臨床試験のデータであっても,その有効性の判定に差がでることが報告されており2),その設定や解釈には注意を要する.

〔廣村桂樹〕

■文献

  1. Appel GB, Contreras G, et al: Mycophenolate mofetil versus cyclophosphamide for induction treatment of lupus nephritis. J Am Soc Nephrol, 2009; 20: 1103–1112.

  2. Wofsy D, Hillson JL, et al: Abatacept for lupus nephritis: Alternative definitions of complete response support conflicting conclusions. Arthritis Rheum, 2012; 64: 3660–3665.