ⓔコラム14-6-3 免疫抑制薬の併用療法
腎臓などの臓器移植療法における拒絶反応抑制療法として,ミコフェノール酸モフェチルとカルシニューリン阻害薬の併用療法が行われる.中国よりループス腎炎に対してミコフェノール酸モフェチルとタクロリムスの併用による寛解導入療法が,IVCYに比べて半年後の寛解率が高いことが報告され注目された1,2).その後,シクロスポリン誘導体であるボクロスポリンを用いて,ミコフェノール酸モフェチルとボクロスポリンの併用療法とミコフェノール酸モフェチルを比較する臨床試験が行われ,併用群で半年,1年後の寛解率の上昇が報告された3).感染症増加などの懸念はあるが,わが国のSLE診療ガイドラインでも,Ⅲ型/Ⅳ型の寛解導入療法として,状況に応じて免疫抑制薬の併用療法が提案されている4).
〔廣村桂樹〕
■文献
Bao H, Liu ZH, et al: Successful treatment of Class V+IV lupus nephritis with multitarget therapy. J Am Soc Nephrol, 2008; 19: 2001–2010.
Liu Z, Zhang H, et al: Multitarget therapy for Induction treatment of lupus nephritis: a randomized, controlled trial. Ann Intern Med, 2015; 162: 18–26.
Rovin BH, Solomons N, et al: A randomized, controlled double–blind study comparing the efficacy and safety of dose–ranging voclosporin with placebo in achieving remission in patients with active lupus nephritis. Kidney Int, 2019; 95: 219–231.
厚生労働科学研究費補助金難治性疾患等政策研究事業自己免疫疾患に関する調査研究班,日本リウマチ学会 編:全身性エリテマトーデス診療ガイドライン2019,南山堂,2019.