ⓔコラム16-6-1 輸血後鉄過剰症の治療
頻回輸血による鉄過剰症の治療については,平成20年度に厚生労働省の「特発性造血障害に関する調査研究」班から診療ガイドが提示されている.骨髄不全による輸血依存状態であり,1年以上の生命予後が期待できる患者のうち,総赤血球輸血40単位以上 (小児は赤血球濃厚液100 mL/kg以上) で2カ月以上にわたって血清フェリチン値が1000 ng/mLをこえる症例を鉄キレート療法の対象としている.
鉄キレート薬としてデフェロキサミンの筋肉内注射 (500~1000 mg/回) が行われてきたが,半減期が短く,外来受診時や輸血時だけの投与では効果が得られないため連日投与が必要である.また,肝機能障害,聴力障害や眼障害の副作用が報告されており,デフェラシロクスの登場により使用頻度は減っている.
第一選択薬は経口鉄キレート剤のデフェラシロクスである.1回20 mg/kgを水100 mL以上で懸濁して,空腹時に内服する.最大30 mg/kgまで増量可能であるが,腎機能低下や消化器症状が出現することがある.血清フェリチン値を500~1000 ng/mLに維持することを目標とし,達成した場合には休薬または減量投与を行う.
〔徳本良雄・日浅陽一〕