ⓔコラム16-7-1 尿酸の代謝

 ヒト,類人猿において,尿酸はプリン代謝の最終産物であるが,マウス,ラットなどの哺乳類では,尿酸はさらにウリカーゼという酵素により酸化 (代謝) される.霊長類の進化の過程で,ウリカーゼの機能は低下し,さらに遺伝子の変異が発生し,ヒト,類人猿では完全にウリカーゼの機能は消失したことが明らかとなってきた.de novo経路,サルベージ経路,あるいは分解経路アデノシン三リン酸 (adenosine triphosphate: ATP,GTP) で産生されたイノシン一リン酸 (inosine monophosphate: IMP) は,さらにイノシン→ヒポキサンチン→キサンチンに代謝され,最終的にキサンチン酸化還元酵素により尿酸へと酸化される.ヒト,類人猿以外では,ウリカーゼによりアラントインへと代謝され,動物種によっても異なるが,さらにアラントイン酸,尿素,アンモニアへと代謝され (ⓔ図16-7-2),排泄されるため,マウス,ラットなどでは,血清尿酸値は0.5~1.5 mg/dLと低値を呈する.

〔藏城雅文・小山英則〕