ⓔコラム16-7-3 尿酸生成抑制薬

 キサンチン酸化還元酵素を抑制することで尿酸の生成を抑制する薬としてアロプリノール (ザイロリック®),フェブキソスタット (フェブリク®),トピロキソスタット (ウリアデック®,トピロリック®) が挙げられる.

 アロプリノール (ザイロリック®)

 アロプリノールおよび代謝産物のオキシプリノールは,プリン骨格を有している.そのためヒポキサンチンおよびキサンチンと構造が似ているため,XORを競合的に阻害することで,尿酸の生成を抑制する (ⓔ図16-7-4).オキシプリノールは尿酸と同様に腎臓から排泄されることから腎不全症例では血中濃度が上昇する.また尿酸排泄低下型 (尿酸の再吸収が亢進) では,尿酸と同じくオキシプリノールの再吸収が亢進するため,血中濃度の上昇がみられる.この血中濃度の上昇がアロプリノールによる副作用の危険性を上昇させる可能性があるため排泄低下型においてはアロプリノールの投与はあまり推奨されない.

 フェブキソスタット (フェブリク®),トピロキソスタット (ウリアデック®,トピロリック®)

 フェブキソスタット,トピロキソスタットは,アロプリノールと異なりプリン骨格を有さず,ヒポキサンチン・キサンチンが結合する基質結合ポケット内で多種多様の結合・相互作用を発揮し,極めて強い阻害作用を示し,尿酸生成を抑制する (ⓔ図16-7-5).なお,トピロキソスタットはXORの基質となり,XORを阻害する作用も有している.これらの新規のXOR阻害薬は,アロプリノールとは異なり胆汁からの排泄経路を有している.そのため軽度~中等度の腎機能障害患者においても用量を調節することなく使用できることが特徴となっている.さらに,病型分類ごとに,キサンチン酸化還元酵素阻害薬の有効性・安全性を評価した研究では,病型分類にかかわらず,高尿酸血症患者の血清尿酸値を効果的に低下させ,また重篤な有害事象は認められないことも示されている.

ⅰ) 尿酸排泄促進薬: 尿酸排泄促進薬としてベンズブロマロン (ユリノーム®),プロベネシド (ベネシッド®) が挙げられる.

 ベンズブロマロンやプロベネシドはURAT1の作用を抑制することで,尿酸の再吸収を抑制し,腎臓からの尿酸排泄を促進する.尿酸排泄促進薬を産生過剰型症例に投与すると,尿中尿酸排泄が増加し尿路結石の危険性が増加するため推奨されていない.そのため尿酸排泄促進薬は尿酸排泄低下型症例への投与が推奨されている.ただし腎不全症例では,病型分類を行うと尿酸排泄低下型となるが,尿酸排泄促進薬による尿酸降下作用が減弱するため通常使用しない.なお,ロサルタン (ニューロタン®),フェノフィブラート (リピディル®,トライコア®) は尿酸低下作用を有するが,URAT1に作用し,尿酸の再吸収を抑制するためである.

〔藏城雅文・小山英則〕