ⓔコラム17-10-22 新規薬剤による救援療法
ボルテゾミブ (B),サリドマイド (T),レナリドミド (L),ポマリドミド (P) のいずれかにデキサメタゾン (D) を併用した2剤併用療法や,これらを組み合わせた3剤併用療法 (BTd療法,BLd療法,BPd療法),最近では抗体医薬である抗CD38抗体ダラツムマブや,抗CS1抗体エロツズマブを加えた3剤併用療法 (DBd療法,DLd療法,EPd療法) の高い有効性と忍容性が報告されている.プロテアソーム阻害薬にはボルテゾミブ以外に,カルフィルゾミブ (C),イキサゾミブ (I) が登場し,それぞれLdと組み合わせた3剤併用療法 (CLd療法,ILd療法) の有効性が示されている.イキサゾミブは経口薬であるため,ILd療法はすべて経口薬による3剤併用療法が可能である.ボルテゾミブに代表されるプロテアソーム阻害薬は小胞体ストレス応答に関与し,サリドマイド,レナリドミドなどの免疫調整薬は,ユビキチンリガーゼ複合体を形成するセレブロン蛋白とその基質蛋白の両方に結合し,基質蛋白の分解を誘導,骨髄腫細胞をアポトーシスに導く.加えて骨髄腫細胞と骨髄ストローマ細胞との接着阻害作用や,血管新生を阻害することによる骨髄微小環境に対する治療効果も有している.さらに免疫調整薬は,IL–2やIFN–γなどの産生を介した細胞障害性T細胞やNK細胞の活性化作用を有している.
〔半田 寛〕