ⓔコラム17-3-2 メトヘモグロビン
ヘモグロビンは分子状酸素を運搬するために,ヘムは2価鉄 (Fe2+) を配位している.酸素が結合したヘモグロビン (オキシヘモグロビン) が可逆的に酸素を運搬するためには,ヘム中心の鉄イオンは2価である必要がある.しかし,オキシヘモグロビンは自動酸化を起こして中心の鉄が3価になると,メトヘモグロビンとよばれ,酸素との結合能を失ってしまう.オキシヘモグロビンの1~2%は常時酸化されてメトヘモグロビンになる.解糖系中間のグリセロアルデヒド–3–リン酸脱水素酵素 (G–3–P dehydrogenase) の段階で産生されるNADHは,メトヘモグロビン還元酵素の補酵素として働き,ヘモグロビンのメトヘモグロビンへの酸化変性を防ぐ.さらに,五炭糖リン酸回路で産生されるNADPHはグルタチオン還元酵素の活性化を通して,ヘモグロビンの酸化を防ぐ.
〔髙後 裕〕