ⓔコラム3-3-1 認知症ケア加算と認知症ケアチーム
高齢者の入院時せん妄および認知症対応の向上を目指して2016年度より診療報酬上に認知症ケア加算が設定されている.認知症をもつ人が,身体疾患で入院の際,「身体合併症への対応は行われても,認知症の症状が急速に悪化してしまうような事例が少なくない」との知見に基づき,新オレンジプランで掲げられた理念が具体化された.同プランでは,「認知症の人の状態は,周囲の人々やケアの状態を反映する鏡ともいわれる」として,病院関係者の知識とスキルの向上を唱えている.認知症ケア加算のもと病院内で活動する認知症ケアチームは,認知症専門医,認知症認定看護師,ソーシャルワーカーなどで構成される.ミーティングや病棟回診を通じて,病棟スタッフに,認知症症状への対応の助言,せん妄予防,せん妄介入,院内デイケア利用の推奨,疼痛管理についての助言,ADL維持やリハビリテーションに関する助言,身体拘束についての助言,家族への助言,環境調整の助言 (部屋の明るさなど),栄養・食事摂取に関する助言,点滴ルートについての助言,投薬調整に関する助言,排泄に関する助言などを行う.
〔武地 一〕