ⓔコラム5-29-3 線溶のメカニズム
線溶は線維素溶解反応の略で,フィブリン (線維素) を分解し,フィブリン血栓を適切な大きさに調整する反応である.プラスミノゲンアクチベーターによってプラスミノゲンが活性型のプラスミンとなり,フィブリン血栓を切断する.線溶を制御するブレーキであるα2–プラスミンインヒビター (α2PI) やプラスミノゲンアクチベーターインヒビター–1 (PAI–1) の遺伝的異常により線溶反応が亢進する出血傾向が報告されているが,まれである.DICでは全身のフィブリン血栓形成に伴って二次的に線溶が亢進することが出血傾向に結びつく.また,急性前骨髄球性白血病 (acute promyelocytic leukemia: APL) では白血病細胞上のアネキシンⅡが組織プラスミノゲンアクチベーターとプラスミノゲンを結合させて,細胞上の線溶活性を亢進して重度の出血傾向を呈する.
〔大森 司〕