ⓔコラム7-10-1 おたふくかぜワクチン接種

 ムンプスの予防はワクチン接種が唯一の方法であり,接種後90%前後が有効なレベルの抗体を獲得する.ワクチンの副反応としては,接種後2週間前後に軽度の耳下腺腫脹と微熱がみられることが数%ある.無菌性髄膜炎が約1000~2000人に1人の頻度で発症する1)

 患者と接触した場合の予防対策として行うワクチン接種では,症状の軽快は認められても発症を予防することは困難である.ムンプスに対する有効な抗ウイルス薬のない現状においては,集団生活に入る前にワクチン接種をしておくことが最も有効な感染予防法である.小学生〜高校生では,未接種の場合は1カ月以上あけて2回接種,過去に1回接種した者は1回追加接種することが勧められている.医療従事者で十分な抗体のない場合には,おたふくかぜワクチンを2回接種することが望ましい.おたふくかぜワクチンは,生ワクチンであるので妊娠している場合や免疫不全者には接種することはできない.

〔城 裕之〕

■文献

  1. 多屋馨子:流行性耳下腺炎 (ムンプス,おたふくかぜ),国立感染症研究所感染症情報センター.http://www.nih.go.jp/niid/ja/kansennohanashi/529-mumps.html, 2012.