ⓔコラム7-11-3 診断・鑑別診断
先天性トキソプラズマ症
診断には,妊婦血液のIgG avidity,羊水PCR検査,頭部画像検査,眼科検査を組み合わせて行う.鑑別診断にはTORCH症候群のほかの疾患を挙げる.
免疫正常者におけるトキソプラズマ感染症
IgG抗体を2〜3週間以上の間隔をあけて2回検査を行い,陽転化する,あるいは4倍以上の抗体価上昇によって確定する.組織中の急増虫体の証明,PCRによる血液や組織からのトキソプラズマ遺伝子検出による診断も可能である.
免疫不全者におけるトキソプラズマ症
ヒト免疫不全ウイルス (human immunodeficiency virus: HIV) 感染症,造血幹細胞・固形臓器移植後,悪性腫瘍の化学療法中などの免疫不全を呈する患者の場合に疑う.トキソプラズマ脳炎の場合は,画像診断 (CT/MRI),血清IgG抗体,髄液を用いたPCR,脳生検を組み合わせて診断を行う.鑑別疾患として,悪性リンパ腫が重要である.ほかに,脳腫瘍,結核,真菌感染症も鑑別に挙がる.
眼トキソプラズマ症
眼底検査を行う.ほかに先天性トキソプラズマ症の有無の確認,血清IgG抗体,眼房水IgG抗体,硝子体液PCR検査を行う.
〔三木田 馨〕