ⓔコラム7-12-2 糸状虫症の臨床症状
この病態としては,リンパ液の灌流障害によるリンパ浮腫に,二次性の細菌感染症が生じることによる蜂窩織炎 (ほうかしきえん) が原因になる場合と,成虫がリンパ管内で死亡・崩壊することで虫体物質による炎症が,成虫の寄生部位より末梢に進行する (逆行性リンパ管炎) 場合とがある1,2).ミクロフィラリアに対する過敏性反応と考えられている熱帯性好酸球性増加症という病態では,咳,胸痛などの呼吸器症状,画像上胸部浸潤影を呈する.
慢性症状は,繰り返す細菌感染により浮腫は不可逆化し,皮膚が硬化することによる象皮症が生じることがある3,4).病変はバンクロフト糸状虫症では一般に足~大腿部,マレー糸状虫症では膝から下に出現する.バンクロフト糸状虫症では陰囊水腫,乳び尿を呈するが,マレー糸状虫症ではみられない.
回旋糸状虫症においては,成虫が形成する皮下結節 (オンコセルカ腫瘤) が頭部,肩甲部など皮膚と骨が近い部分に生じる.内部には多数の成虫が存在する.本症では,ミクロフィリアが眼に侵入することにより角膜炎,視神経萎縮などを呈し,失明 (河川盲目症) をきたすこともある.
〔三木田 馨〕
■文献
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Dreyer G, Addiss D, et al: Interdigital skin lesions of the lower limbs among patients with lymphoedema in an area endemic for bancroftian filariasis. Trop Med Int Health, 2006; 11: 1475–1481.
Shenoy RK: Clinical and pathological aspects of filarial lymphedema and its management. Korean J Parasitol, 2008; 46: 119–125.