ⓔコラム7-2-1 その他の食品媒介疾患

 リステリア (Listeria monocytogenes) は環境中に存在し,わが国では食中毒の報告はないが,乳製品やナチュラルチーズなどを摂取することで下痢・嘔吐・発熱・敗血症・髄膜炎などを起こす.

 大腸菌の近縁菌種であるEscherichia albertiiによる食中毒や下痢症の集団発生も報告されている1).エルシニア属のY. enterocliticaY. pseudotuberculosisは,ネズミやブタが保菌しており,山水や井戸水から経口感染する.エロモナス属とプレジオモナス属は淡水中に常在するGram陰性桿菌 (かんきん) で,淡水魚などを摂食して下痢症を起こす.

 サカザキ菌 (Cronobacter sakazakii) は,粉ミルクの製造過程で混入することが知られており,乳児の下痢症の原因となる2).粉ミルク内で1年以上生存するため,調製時は70℃以上での溶解が必要である.

〔西 順一郎〕

■文献

  1. Ooka T, Tokuoka E, et al: Human gastroenteritis outbreak associated with Escherichia albertii, Japan. Emerging infectious diseases, 2013; 19: 144–146.

  2. Osaili T, Forsythe S: Desiccation resistance and persistence of Cronobacter species in infant formula. International journal of food microbiology, 2009; 136: 214–220.