ⓔコラム7-2-3 嘔吐下痢症の伝播防止策

 家庭内の二次感染予防には,流水と石けんによる手洗いが最も重要である.特に患者が使用したトイレの便座やドアノブなどのよく触れるところにはウイルスが多量に残存しており,トイレ後の手洗いは重要である.吐物の処理の際は,ウイルスを含んだエアロゾルを吸引して感染するおそれがあるため,必ずマスクや手袋を着用する.汚染した衣類の消毒には熱水による消毒が有効である.カーペットなどが汚染された場合は,アイロンによる加熱も有効である.

 院内感染や介護福祉施設でのアウトブレイク予防には,患者の早期発見と早期隔離が大切である.症状から嘔吐下痢症が疑われる場合は,迅速抗原検査の結果にかかわらず,早めにトイレ付きの個室に隔離し,接触感染対策を開始する.医療器具などを専用化し,密接してケアを行うときは手袋とマスク,使い捨てエプロンを着用する.患者周囲の高頻度接触面は,次亜塩素酸ナトリウムによる消毒が重要である.

〔西 順一郎〕