ⓔコラム7-3-11 ESBL産生クレブシエラ属の治療

 肺炎桿菌やK.oxytocaはESBLやカルバペネマーゼなどの耐性遺伝子がプラスミド伝播する代表的な菌であり,治療不成功と関連する.肺炎桿菌におけるESBL産生菌の分離頻度は諸外国では数十%と高い国もあり,わが国では数%であるが増加傾向にある.ESBL産生菌感染症に対する抗菌化学療法はカルバペネム系薬が第一選択薬である.中等症や軽症ではオキサセフェム系やセファマイシン系,β–ラクタマーゼ配合β–ラクタム系薬の効果が期待されるが,その効果は尿路感染症や胆道系感染症などに限定される.またESBL産生菌はニューキノロンに耐性を示しやすく,軽症の尿路感染症では経口でもホスホマイシンやトリメトプリム・スルファメトキサゾールなどに感受性があれば選択可能な場合がある.

〔浮村 聡〕