ⓔコラム7-3-24 ブルセラ属菌の特徴
各菌種における自然宿主を表1に示す.これら通常の自然宿主以外にも,野生の反芻獣 (バイソン,スイギュウ,ジャコウウシ,シカ,カモシカ),肉食獣 (オオカミ,キツネ,クマ,ヤマネコ),げっ歯類 (ウサギ,ネズミ) に幅広い感染がある.
ブルセラ属菌は細胞内寄生菌であり,体内に侵入した菌はマクロファージなどの貪食細胞に取り込まれるが,これによる消化を回避し細胞内で増殖する.病原因子として知られているⅣ型分泌機構 (VirB蛋白質群) の変異株では,マクロファージ内増殖能を欠くことが知られている.このブルセラ属菌のVirB蛋白質群と相同性があるAgrobacterium tumefaciensのVirB蛋白質群は,T-DNAとよばれるDNA断片を宿主植物細胞へ注入し,腫瘍形成に関与する.ブルセラ属菌のVirB蛋白質群を介して宿主細胞に注入される因子も病原性に直接関与すると考えられており,その因子はエフェクターとよばれている1).
〔度会雅久〕
■文献