ⓔコラム8-7-3 SYNTAXスコア
SYNTAXスコアは冠動脈の重症度を評価するスコアである．左右冠動脈の優位性の評価，病変部位の評価，病変形態の評価という3ステップからなる．スコアの重みづけは専門家のコンセンサスによるものから導き出されたが，SYNTAX試験においてPCI後の予後層別化に有用であることが示されたため，その後の血行再建法の選択の際に用いられるようになった．現在ではわが国のガイドラインにも取り入れられている．SYNTAXスコアはあくまで病変の解剖学的複雑性を評価する指標である．患者背景の因子を組み入れたいくつかの指標が提唱されているが，実臨床ではSYNTAXスコアのみがもっぱら用いられており，ガイドラインにも取り入れられた1)．
SYNTAXスコアが高い場合はPCIよりもバイパス手術が推奨され，SYNTAXスコアが低い場合にはPCIも同等の長期予後が得られるとされている．
〔阿古潤哉〕
■文献