ⓔコラム8-7-5 STEMIに対する血栓溶解療法

 STEMIに対しては組織型プラスミノゲンアクティベーター (tissue plasminogen activator: tPA) を用いた血栓溶解療法が行われた.しかしながら,再開通率は3~6割程度であること,禁忌症例が多いことなどが問題であり,PCIとの前向き無作為試験の結果,tPAを使用せずにPCIを行うprimary PCIと比べて,明らかにprimary PCIの方の死亡率が低いため,PCIが第一選択,tPAによる血栓溶解療法はPCIができないときの第二選択となった.先にtPAを用いてからPCIを行うfacilitated PCIに関しても無作為試験の結果primary PCIの方で死亡率が低く,現在はまずPCIを行うprimary PCIが第一選択となっている.

〔伊苅裕二〕