ⓔノート10-9-3 気管支拡張症によるさまざまな症候群
Swyer–James症候群は感染による閉塞性細気管支炎が原因とされる病態.一側肺または一葉の透過性亢進をきたす.成人発症の原発性免疫不全では分類不能型免疫不全の頻度が高い.囊胞性線維症や線毛機能不全症候群は遺伝子を含む専門的な診断が必要となる.tracheobronchomegaly (Mounier–Kuhn症候群) や先天性軟骨欠損 (Williams–Cambell症候群) は先天的な気管支壁異常による.前者は気道壁の弾性線維の欠損や萎縮,筋層の菲薄 (ひはく) 化により気管・気管支が拡張し,後者は第4~6次気管支の軟骨欠損により気管支拡張が起こる.膠原病では関節リウマチが最も頻度が高い.炎症性腸疾患に合併する頻度は数%で大腸切除後に多いとされる.Young症候群は副鼻腔炎,閉塞性無精子症,気管支拡張を呈する.粘液輸送系の異常が原因とされるが,頻度は低く病因・病態は明らかではない.黄色爪 (おうしょくそう) 症候群 (yellow nail) は,リンパ輸送系の機能低下が原因とされ,リンパ浮腫,黄色爪,胸水や気管支拡張などの呼吸器病変を呈する.
〔森本耕三〕