ⓔノート11-4-5 胃癌のリスク評価

 H. pylori(-),PG (-) をA群とし,H. pylori(+),PG (-) をB群,H. pylori(+),PG (+) をC群,H. pylori(-),PG (+) をD群とすると,A群はH. pylori未感染健常者,B群はH. pylori陽性軽度萎縮性胃炎群,C群は高度萎縮性胃炎群,D群は萎縮性胃炎進展高度腸上皮化生合併群となる.この分類を用いた10年間の観察研究では,各群の胃癌発生年率は,A群からは胃癌の発生はなく,B群0.1% (ハザード比 (HR):7.1),C群0.24% (HR:14.5),D群1.3% (HR:61.9) と胃粘膜萎縮の段階に伴う胃癌発生リスクの上昇が明らかとなった.ただし,血清抗H. pylori抗体における偽陰性の問題などからA群に高リスク例がみられる場合もあり,画像検査なども含めた総合的な判断が必要である.

〔兒玉雅明・村上和成〕