ⓔノート12-1-5 Dubin–Johnson症候群
黄疸は妊娠や経口避妊薬などで増悪する.ビリルビンの上昇は多くの場合5 mg/dLまでであるが,正常域に近いところから著明な上昇まで幅広い異常を呈する.
この症候群の特徴としては,ビリルビン以外の胆汁酸排泄は正常であるが (したがって瘙痒 (そうよう) 感もない),一部の陰イオン化合物の胆汁への排泄も障害されるという点である.これには胆囊造影剤やブロモスルホフタレイン (bromosulphophthalein: BSP) という肝細胞でグルクロン酸抱合を受けて毛細胆管側より排出される色素が含まれる.ATP依存性毛細胆管膜輸送体であるMRP2に異常があると,これらは肝細胞から血中に逆流して血中濃度が再上昇することになる.
〔上野義之〕