ⓔノート14-1-28 バスキュラーアクセスの歴史

 血液透析が開発され,1943年には,Kolffらが血液透析をrotating dram型人工腎臓を用いて史上初の臨床応用に成功し,腎不全の治療が可能となった.しかしながら,当時のバスキュラーアクセスは,皮膚切開を行ったうえで血管に直接穿刺するという方法以外の選択肢がなかったことから,バスキュラーアクセスの制限があったため,血液透析を行う回数は限定的なものであった.その後,1960年にQuintonとScribnerによりカテーテルを使用した外シャント法が考案され,血液透析を反復して施行することが可能となったが,血栓形成による閉塞やカテーテル感染などの合併症が問題であった.これらの問題を解決しうる手法として,1966年にBresciaとCiminoらにより,自己の動脈と静脈を使用する方法が考案された.この方法は,今日のAVFの原法であり,世界中に広く普及している.

〔中村元信〕