ⓔノート16-1-1 飢餓と栄養

 飢餓や低栄養からの脱却がヒトの寿命を延伸し健康増進に大きく寄与してきた歴史的事実は,慢性的な栄養不足がいかに危機的でヒトの生存を脅かす存在であるかを示している.またそれゆえにヒトは飢餓や低栄養に対してさまざまな防御機構や技術を発達させ,長く続いた飢餓に適応すべく進化・発展を遂げてきた.特に加熱調理と産業革命は栄養療法に大きな変革をもたらし,安全性・効率性・経済性は著しく向上した.しかしいまなお環境は変化を続けており,ヒトが「完璧に適応していた瞬間 (時代) 」は存在しない.

〔窪田直人〕