ⓔノート2-1-21 DCIに対する治療の原則

 DCIに対し,①より早く,適切な再圧治療,②最も重篤な症状に対して治療,③意識障害の場合,重篤なDCSまたはAGEとして対処,④軽微な症状に注意 (疼痛に隠れた神経症状),⑤急性期の症例では,できるだけ初回治療での完治を目指す,⑥DCIが否定できなければ再圧治療,⑦症状自然消失でもその症状に対応した再圧治療を実施するという原則で臨めば,最大限の治療効果が期待できる.意識障害を伴う重篤な場合でも,関節痛のみの軽症の場合でも同様である.

 逆に,この原則に従わない場合,患者に不利益をもたらす可能性が大きくなる.例えば重症例では分単位の再圧開始の遅れによる神経障害の遺残および固定化が起きる.関節痛のみの軽症例であっても再圧治療を実施しなかった場合,以後の潜水により再燃または再発しやすくなるのはよく経験することであり,長期的な観点からも骨壊死に発展する可能性をもつことになる.

〔鈴木信哉〕