ⓔノート7-10-22 ポリオの予後

 急性麻痺の程度が高度であったり,人工呼吸器の使用が必要な場合には,完全な回復は期待できない.発症後1カ月で,ほとんどの可逆的な変化は消失するため,予後を予測することができる.発症後9カ月以降では,それ以上の回復は望めない.咽頭麻痺の回復は発症後10日までに生じ完全に回復する.球麻痺型では,永続的な後遺症を残すことはまれである.

 ポリオが流行していた時代の死亡率は5〜10%であった.死亡率は,呼吸筋麻痺と球麻痺の合併が多いため年齢が高いほど高い.コンゴでのアウトブレイクでは,15歳未満の死亡率は32%であったのに対して,15歳以上では48%であった1).ときに心筋炎,消化器症状,尿閉,腎結石をきたすことがある.

〔城 裕之〕

■文献

  1. Patel MK, Konde MK, et al: An outbreak of wild poliovirus in the Republic of Congo, 2010-2011. Clin Infect Dis, 2012; 55: 1291–1298.