ⓔノート7-3-6 リステリア感染症の治療薬
リステリア感染症に対する第一選択薬はベンジルペニシリンやアンピシリンであり,第二選択薬としてST合剤やメロペネムも挙げられる.ただし,菌血症や中枢神経系感染症のような重篤な疾患に対しては,ベンジルペニシリンやアンピシリンで治療された群はメロペネムで治療された群と比較して有意に死亡率が低いことが報告されている1).in vitroではアミノグリコシド系抗菌薬との併用によって相乗効果が示されるが,臨床効果は確立されておらず,ガイドラインではリステリアによる髄膜炎に対するアミノグリコシド系抗菌薬の積極的な併用は推奨されず,併用を検討するにとどまっている2).
免疫能正常者の腸管感染症や皮膚感染症は抗菌薬なしで自然軽快するが,リステリア感染症が疑われる妊婦の胃腸炎に対してはアモキシシリンやアンピシリンで治療すべきである.
〔堀野哲也〕
■文献
Thønnings S, Knudsen JD, et al: Antibiotic treatment and mortality in patients with Listeria monocytogenes meningitis or bacteraemia. Clin Microbiol Infect, 2016; 22: 725–730.
van de Beek D, Cabellos C, et al: ESCMID guideline: diagnosis and treatment of acute bacterial meningitis. Clin Microbiol Infect, 2016; 22: S37–S62.