ⓔノート8-9-3 手術時期の決定のために
Fallot四徴術後PRによる右室不全の場合,右室障害が進行しすぎると再手術を施行しても右室機能が回復しないとされている.心室頻拍による突然死のリスクもあるため,自覚症状・臨床症状をあてにすることなく,手術時期を待ちすぎないよう注意する.そのためには心臓MRIによる心機能の正確な評価が必要である.必要に応じて心室頻拍・上室性頻拍性不整脈にはアブレーションを併用する.運動耐容能の評価はきわめて重要である.一般的に,肺機能や体心室左室に問題がない場合,右室収縮不全単独において運動耐容能は低下しにくく,患者の慣れも加味して自覚症状が目安になりにくい.ここで,最大酸素摂取量 (peak $\dot{\mathrm{V}}$O2) が70%以下に低下する場合は,高度な右心不全の存在・進行を疑う必要があり,手術適応を考慮するきっかけとなることがある.
〔八尾厚史〕